2014年06月08日
かかりつけ湯総会が行われました。山口総長の講演ダイジェスト
かかりつけ湯通信番外編
総会山口総長講演ダイジェスト(20140603)
下田大和館
報告:事務局水口
かかりつけ湯H26年度総会での、静岡がんセンター山口建総長の講演要旨をまとめました。
*********************************
タイトル「かかりつけ湯と未来の医療」
講演者 静岡がんセンター山口建総長(かかりつけ湯アドバイザー)
時代のキーワードは「心を読む」。人の心を読めるか読めないかが勝負となっている。
静岡がんセンターの医療サービスも「心を読めるか、読めないか」。つまり、患者さんとご家族が納得いく治療を受けられるかどうか。
かかりつけ湯もそう。お客さまが納得するサービスを提供できるかどうか。リピーターになってくれるか。帰るときに「よかったね」。豪華な施設も重要だが、おもてなしを感じてもらえたかどうか。
団体旅行から個別化とはよく言われる。個別化した客に「この宿はここまでやってくれた」と思ってもらえるかどうか。
かかりつけ湯のパンフレットには「心の幸せ寿命をのばします」とある。ここに、理念が生きている。
また、それは、宿の側も同じこと。それを「社会的な報酬」と呼ぶ。物質的な報酬(金銭)はもちろん大事にしながら、お客さんが喜ぶ顔をみて、宿側も「社会的な報酬(心の満足)」を受ける。こうしたことを大事にする宿は、時間はかかるかもしれないがお客さんが増えてゆく。
今後の新しいビジネスモデルにつながっていく。
遺伝子の解析で多くのことが分かる時代。がん治療もより副作用が少ない方法に
専門分野の話をしたい。
人体は60兆をこえる細胞でできていて、細胞核の中に遺伝子(DNA)が入っている。
人の全ての遺伝子を解析する世界的なプロジェクトが進み、人が持つ30億塩基対を10万円出せば今では1日で解析することができるようになった。「1000ドルゲノム」と呼ばれ、大きなビジネスになっている。遺伝子が分かると、自分がどういう病気にかかりやすいか、どういう性質をもっているかが分かる。
たとえば、一部の遺伝病は、食生活がきっかけで発症すると言われている。こうした遺伝病を持つ人は子供の頃から食生活に注意すると発病の引き金を引かずに済むようになる。すでに台湾では生まれたての赤ちゃんの遺伝子を解析し、予防に役立てる取り組みが始まっている。
今後は「予防」という概念が大きく変わるだろう。
アメリカでは「23andMe」という遺伝子解析サービスがあり、・遺伝子診断サービス・体質や疾病に関する素因・危険度の推定をする。しかし、 FDAから差し止めされている。
日本でも唾液を送ると分析してくれるサービスがある。
がん化した細胞もDNA分析をすることで、より効果的で副作用の少ない治療をすることができる。がん化には数百の経路があることがわかっているが、経路ごとに薬ができるとそれだけに効くので副作用が少なくて済む。すでにこうした動きは始まっている。
がんセンターでも、がんに関連する6000塩基対を分析している。
遺伝子が傷つけられることでがん化することが分かっている。つまり、がん予防には、遺伝子を守る生活をすることが有効だ。発がん物質、放射線の除去などが挙げられる。具体的には、たばこ、過度の飲酒、食事中の塩分・・・こうしたものをとり除く。
例えばたばこをやめるとがん化リスクが3割減る。がん検診で3割、あとの3割は自分でストレスをためないなどの生活上の工夫をするとがんのリスクは大きく減っていく
あるいは抗酸化作用のある食べ物を取ることで、がんを防ぐことができる。具体的には「野菜」それも色の濃い「緑黄色野菜」が抗酸化作用を高めるには有効だ。
また、がん予防は同時に心筋梗塞や脳卒中の予防にもなる。
禁煙、アルコール控えめ
塩分・脂肪控えめの日本食を腹八分目
野菜・果物、運動、清潔、ストレス減少
こうしたことが健康寿命をのばすためには大切だ。
遺伝子から宿のサービスを眺めてみよう。取り入れられることはたくさんある
お客さまの遺伝子を守るサービスを旅館に取り入れてみよう。たとえば、発がん物質の筆頭である「たばこ」。受動喫煙をいかに予防するか、この対策をしてそれをうたえば、特に子供のいるご家庭からは支持されるだろう。
塩分を減らしたい、野菜を摂りたい方にも、かかりつけ湯が取り組んできた塩本、野菜本の実践は付加価値の高いサービスになるだろう。
脳からは・ノルアドレナリン(興奮)・セロトニン(落ち着き)・ドパミン(快感)・オピオイド(麻薬)などの物質が分泌される。かかりつけ湯は「セロトニン」を出す場でありたい。
そのためにも宿のスタッフのもてなしは重要だ。がんセンターでよく言っているのは、「100-1=0」。99人の良いスタッフがいても1人のスタッフの悪い言動ですべてが0になる。なかなか難しい試みではあるが、継続していくことで改善される。がんセンターでは投書箱を置き、その日に投書された内容はその日の内にスタッフ全員が目を通る。記名のあるものにはお返事を、ないものには、定期的にまとめる冊子に掲載する。患者さんから学ぶという姿勢をとても大切にしている。
50代~80代のキーワードは「こだわりを大切にする」。
ぜひこれを見てほしい、これを食べてほしい、この温泉に入ってほしいという宿のこだわりをどう伝えられるか。
まとめると、かかりつけ湯は金銭よりも、社会的な貢献を求める宿でありたい。お客さんの心を徹底して読む、読み続けることで日々進化をしてもらいたい。
以上
総会山口総長講演ダイジェスト(20140603)
下田大和館
報告:事務局水口
かかりつけ湯H26年度総会での、静岡がんセンター山口建総長の講演要旨をまとめました。
*********************************
タイトル「かかりつけ湯と未来の医療」
講演者 静岡がんセンター山口建総長(かかりつけ湯アドバイザー)
時代のキーワードは「心を読む」。人の心を読めるか読めないかが勝負となっている。
静岡がんセンターの医療サービスも「心を読めるか、読めないか」。つまり、患者さんとご家族が納得いく治療を受けられるかどうか。
かかりつけ湯もそう。お客さまが納得するサービスを提供できるかどうか。リピーターになってくれるか。帰るときに「よかったね」。豪華な施設も重要だが、おもてなしを感じてもらえたかどうか。
団体旅行から個別化とはよく言われる。個別化した客に「この宿はここまでやってくれた」と思ってもらえるかどうか。
かかりつけ湯のパンフレットには「心の幸せ寿命をのばします」とある。ここに、理念が生きている。
また、それは、宿の側も同じこと。それを「社会的な報酬」と呼ぶ。物質的な報酬(金銭)はもちろん大事にしながら、お客さんが喜ぶ顔をみて、宿側も「社会的な報酬(心の満足)」を受ける。こうしたことを大事にする宿は、時間はかかるかもしれないがお客さんが増えてゆく。
今後の新しいビジネスモデルにつながっていく。
遺伝子の解析で多くのことが分かる時代。がん治療もより副作用が少ない方法に
専門分野の話をしたい。
人体は60兆をこえる細胞でできていて、細胞核の中に遺伝子(DNA)が入っている。
人の全ての遺伝子を解析する世界的なプロジェクトが進み、人が持つ30億塩基対を10万円出せば今では1日で解析することができるようになった。「1000ドルゲノム」と呼ばれ、大きなビジネスになっている。遺伝子が分かると、自分がどういう病気にかかりやすいか、どういう性質をもっているかが分かる。
たとえば、一部の遺伝病は、食生活がきっかけで発症すると言われている。こうした遺伝病を持つ人は子供の頃から食生活に注意すると発病の引き金を引かずに済むようになる。すでに台湾では生まれたての赤ちゃんの遺伝子を解析し、予防に役立てる取り組みが始まっている。
今後は「予防」という概念が大きく変わるだろう。
アメリカでは「23andMe」という遺伝子解析サービスがあり、・遺伝子診断サービス・体質や疾病に関する素因・危険度の推定をする。しかし、 FDAから差し止めされている。
日本でも唾液を送ると分析してくれるサービスがある。
がん化した細胞もDNA分析をすることで、より効果的で副作用の少ない治療をすることができる。がん化には数百の経路があることがわかっているが、経路ごとに薬ができるとそれだけに効くので副作用が少なくて済む。すでにこうした動きは始まっている。
がんセンターでも、がんに関連する6000塩基対を分析している。
遺伝子が傷つけられることでがん化することが分かっている。つまり、がん予防には、遺伝子を守る生活をすることが有効だ。発がん物質、放射線の除去などが挙げられる。具体的には、たばこ、過度の飲酒、食事中の塩分・・・こうしたものをとり除く。
例えばたばこをやめるとがん化リスクが3割減る。がん検診で3割、あとの3割は自分でストレスをためないなどの生活上の工夫をするとがんのリスクは大きく減っていく
あるいは抗酸化作用のある食べ物を取ることで、がんを防ぐことができる。具体的には「野菜」それも色の濃い「緑黄色野菜」が抗酸化作用を高めるには有効だ。
また、がん予防は同時に心筋梗塞や脳卒中の予防にもなる。
禁煙、アルコール控えめ
塩分・脂肪控えめの日本食を腹八分目
野菜・果物、運動、清潔、ストレス減少
こうしたことが健康寿命をのばすためには大切だ。
遺伝子から宿のサービスを眺めてみよう。取り入れられることはたくさんある
お客さまの遺伝子を守るサービスを旅館に取り入れてみよう。たとえば、発がん物質の筆頭である「たばこ」。受動喫煙をいかに予防するか、この対策をしてそれをうたえば、特に子供のいるご家庭からは支持されるだろう。
塩分を減らしたい、野菜を摂りたい方にも、かかりつけ湯が取り組んできた塩本、野菜本の実践は付加価値の高いサービスになるだろう。
脳からは・ノルアドレナリン(興奮)・セロトニン(落ち着き)・ドパミン(快感)・オピオイド(麻薬)などの物質が分泌される。かかりつけ湯は「セロトニン」を出す場でありたい。
そのためにも宿のスタッフのもてなしは重要だ。がんセンターでよく言っているのは、「100-1=0」。99人の良いスタッフがいても1人のスタッフの悪い言動ですべてが0になる。なかなか難しい試みではあるが、継続していくことで改善される。がんセンターでは投書箱を置き、その日に投書された内容はその日の内にスタッフ全員が目を通る。記名のあるものにはお返事を、ないものには、定期的にまとめる冊子に掲載する。患者さんから学ぶという姿勢をとても大切にしている。
50代~80代のキーワードは「こだわりを大切にする」。
ぜひこれを見てほしい、これを食べてほしい、この温泉に入ってほしいという宿のこだわりをどう伝えられるか。
まとめると、かかりつけ湯は金銭よりも、社会的な貢献を求める宿でありたい。お客さんの心を徹底して読む、読み続けることで日々進化をしてもらいたい。
以上